債券の利回り
債券の利回りは、投資家の債券の購入のタイミングと、債券を途中売却するか満期まで保有するかによって名称が変わります。
主なものは「応募者利回り」・「最終利回り」・「所有期間利回り」です。名称が違うだけで利回りの計算式は一緒です。
※利回りとは・・元本に対する1年間の収益のことです。
投資判断では、利率ではなく利回りが重要な判断基準になります

- 応募者利回り:新発債を発行時に買って満期まで保有した場合の利回り
- 最終利回り:既発債を時価で買って満期まで保有した場合の利回り
- 所有期間利回り:買うタイミングに関わらず、満期が来る前に売った場合の利回り
- ※新発債:新たに発行されている債券を新発債
- ※既発債:すでに発行されていて市場で取引されている債券をいいます
- 応募者利回り:債券の発行時に購入して満期まで保有した時の利回り。満期時は額面金額で償還されるので、額面金額を超える「オーバーパー」で発行されたときは、償還差額。額面金額を下回るときは「アンダーパー」で発行されたときは償還差益が発生します。
- 最終利回り:既発債を購入し満期まで保有した時の利回り。満期時は額面金額が償還されるので、額面金額よりも高く購入したときは償還差額、額面金額よりも安く購入したときは償還差益が発生します。
- 所有期間利回り:購入するタイミングに関わらず、満期前に途中売却した時の利回り。売却価格が購入価格を上回れば売却益、売却価格が購入価格を下回れば売却損が発生します
- POINT:上記3つの式の違いは、購入するタイミングと途中売却するか償還(満期)までまつかの違いだけです。3つの式の構造はすべて同じです。

価格変動リスク(金利変動リスク)
債券の代表的なリスクが「価格変動リスク」です。金融機関などが債券を取引している市場の金利が上昇すると債券の価格は下落し、利回りは上昇します。逆に市場の金利が下落すると債券の価格は上昇し、利回りは下落します。市場金利に左右されることから、「金利変動リスク」とも呼ばれます。


※「価格変動リスク」では金利と価格の動きは反対になる
市場の金利が上昇すると、投資家がもっと有利な投資へと動くから低い金利の債券は魅力が下がり売られて債券価格は下落するということになります
債券の残存期間と価格変動幅の関係
残存期間の長い債券の方が、短い債券よりも価格変動幅が大きい
債券の表面利率と価格変動幅の関係
表面利率の低い債券の方が、高い債券よりも価格変動幅が大きい
信用リスク(デフォルトリスク)
債券とは借用証書のようなものですが、発行した国や企業が利子を払えなかったり、満期時に元本を返済できないことがあります。このようなリスクを「信用リスク」といいます
英語の「デフォルト(default)」が「債務不履行」を意味することから「デフォルトリスク」とも呼ばれています。
格付けと信用リスク
債券の信用度を判断する材料として「格付け」があります。「S&P(スタンダード・アンド・プアーズ)」や「ムーディーズ」といった格付け機関が個別の債券について、「A」・「B」・「C」といった記号を使って格付けをしています

※BBBとBBの間に境界線があり上はセーフティー、下はリスキーと考えて差し支えないでしょう

※格付け機関は米国のS&Pとムーディーズが世界的に有名ですが、日本を含めさまざまな国に存在し、国内外の債券の格付けを行っています。
格付けの高い債券は、信用リスクが低いので債券の価格は高く、利回りは低くなります。逆に格付けの低い債券は信用リスクが高いので価格は低く、利回りは高くなります。
※一度、格付けをされた債券でも債券が発行された後に見直されることがあります。格付けが上がる「格付け」・格付けが下がる「格付け」の両方があります。