遺族年金
遺族の生活を保障する年金です
公的年金の加入者である被保険者等が死亡した場合、残された遺族に対して生活の保障を目的として支給される年金です。遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があります
遺族基礎年金の支給要件
原則:死亡日の前日において死亡日の属する月の前々月までに被保険者期間があるときは保険料納付済期間+保険料免除期間等の合計が全被保険者期間の3分の2以上ある。
特例:死亡日に65歳未満であり死亡日の前日において死亡日の属する月の前々月までの直近の1年間において保険料の滞納がないこと。
遺族基礎年金を受給できる遺族の範囲

「子」
以下の要件のいずれかを満たしている「子」は遺族基礎年金を受給できます。
- 18歳到達年度末(3月31日)までの未婚の子
- 20歳未満で障害等級1級または2級の未婚の子(障害基礎年金の「子」の加算における「子」の定義(要件)もこれと同じです。)
『子のある配偶者』
受給できる「子のある配偶者」とは被保険者の死亡により母子家庭となってしまった妻、または父子家庭となってしまった夫という意味です。けっして子のある妻だけではありません。したがって、子供のいない配偶者は遺族基礎年金を受給することはできません。 →遺族基礎年金は残された子供を養育するための年金という見方もできます。
遺族基礎年金の年金額
遺族基礎年金の年金額は、老齢基礎年金の満額に「子の加算額」を足したものです。 →遺族基礎年金の年金額=816,000円+子の加算
- 1人、2人目の子→1人につき234,800円
- 3人目以降の子→1人につき78,300円
- ※障害基礎年金の「子の加算」も同額です
寡婦年金と死亡一時金
国民年金第1号被保険者の独自の給付です。国民年金の第1号被保険者だった人が老齢基礎年金も障害基礎年金も受給することなく亡くなった時、遺族に支給されることがあります。両方の受給要件を満たしている場合はいずれか一方を選択します。※寡婦年金と死亡一時金は選択制
寡婦年金
受給要件と支給期間
国民年金の第1号被保険者として保険料納付済期間と保険料免除期間を合わせて10年以上ある夫が死亡した場合、婚姻期間が10年以上ある妻が60歳から65歳に到達するまで支給される。※注意:妻が自分の老齢基礎年金の繰上げ支給を受けた場合には受給権は消滅します。また、寡婦の婦は女性を指すもので夫には支給されません。
死亡一時金
受給要件:国民年金の第1号被保険者として保険料納付済期間が36ヶ月(3年)以上ある人が死亡した場合。
- 遺族が遺族基礎年金を受給できる場合は支給されません。
- 上記要件を満たしていれば、夫にも支給されます。
遺族厚生年金を受給できる遺族の範囲

遺族厚生年金を受給できる遺族は被保険者によって生計を維持されていた一定の遺族で優先順位があり、最も高い人のみに支給されます。相続・事業継承の「相続の範囲」とは異なり兄弟姉妹は対象外になります。
- 第1順位:配偶者・子 妻→年齢要件なし・子のない30歳未満の妻は5年間の有期年金(5年間のみ支給) 夫→55歳以上。ただし、60歳に達するまでは支給停止(遺族基礎年金を受給できる場合は停止されない。) 子→「子」の年齢要件を満たす者
- 第2順位:父母→55歳以上。ただし、60歳に達するまでは支給停止
- 第3順位:孫→「子」の年齢要件を満たす者
- 第4順位:祖父母→55歳以上。ただし、60歳に達するまでは支給停止
- ※「子」の年齢要件を満たすとは、遺族基礎年金の「子」の年齢要件と同じ
遺族厚生年金の年金額
遺族厚生年金の額=老齢厚生年金の報酬比例部分の額×4分の3
厚生年金の被保険者の死亡時において被保険者期間が300ヶ月未満の場合は300ヶ月とみなして計算します。
中高齢寡婦加算
中高齢寡婦加算とは夫が死亡したときに妻に加算される厚生年金です。以下の要件があります。
- 夫が亡くなった時40歳以上65歳未満で、生計を同じくしている「子」がいない妻であること
- 遺族厚生年金と遺族基礎年金を受給していた「子」のある妻が、「子」が要件を満たさなくなったなどの理由により遺族基礎年金を受給できなくなった時40歳以上65歳未満であること。※40歳に到達した当時、子がいるため遺族基礎年金を受給していた妻。
- 中高齢寡婦加算の額は612,000円です。(遺族基礎年金の額の4分の3)(2024年)

図はイメージです。
※中高齢寡婦加算は妻が40歳以上65歳未満の間支給されるが、遺族基礎年金を受給している間は支給停止。(両方はもらえない。遺族基礎年金の受給がなくなると中高齢寡婦加算に移行するイメージ)