社会保険(公的保険)の種類 その2

労災保険(労働災害補償保険)

業務災害・通勤災害・複数業務要因災害による労働者の疾病・負傷・障害・介護・死亡について保険給付を行います。原則として労働者を1人でも使用している会社は強制的に適用事業者となります。

正社員だけでなくパート・アルバイトなどを含む全ての(経営者・役員は除く)労働者に適用されます保険料は全額事業主負担(自己負担なし)となり事業の内容ごとに保険料率が決められている。(当たり前のことですが、事務仕事と工事現場では危険度が変わるため

休業補償給付

主な給付の1つ。休業4日目から、1日につき給付基礎日額相当額の60%が支給される。ここで注意したいのが健康保険の傷病手当金は『連続3日以上休業した場合』という条件ですが、ここでは『連続』という文言はありません

通勤災害

通勤途中の怪我・障害・病気・死亡のこと。労災保険の対象になります。

障害補償給付

業務上の負傷等が治った時に障害が残った場合、障害等級に応じた額が給付される。治るまでは障害認定されないため給付もありません

療養補償給付

原則、労災病院等で直接療養の給付が行われるので、労働者の自己負担はありません

※労災保険は雇用形態・労働時間・国籍などに関係なく全員が適応対象となる。

※体験談として、補足しますが。私自身の過去の就職先(複数アリ)では労災保険が使用された事はありませんでした。なぜならば、労災保険を使用すると次回以降の保険料が高くなるからです。
よって、キチンと労災を使用してくれる会社はそこで働く従業員を大切にしている会社(事業主)である事の証明になります。
そういう会社に就職し勤めるのをオススメしますが…なかなか難しいですよね。
願わくば、そういった従業員を大切にする会社が増えてくれる事を願います

雇用保険

概要

労働者が失業した時の給付や、再就職を手助けする保険です。原則、1週間の所定労働時間が20時間以上、31日以上の雇用見込みがある場合に被保険者となります。(社長や役員は加入することはできません)パート・アルバイトでも被保険者となる場合があり、保険料は被保険者と事業主が負担します。

point:健康保険→原則労使折半(半分半分)                           労災保険→事業主全額負担                    雇用保険→労使で負担(折半ではない)

失業給付

失業給付には大きく分けて以下の4種類があります。

① 基本手当(求職者給付)

雇用保険の被保険者が65歳未満で退職(離職)し、次の2つの要件(原則)を満たした時は基本手当が支給される。

①原則離職日以前の2年間に被保険者期間(雇用されていた期間)が通算で12ヶ月以上ある

②失業の状態でハローワークに求職の申し込みを行っていること。あくまでも、働く意思があることが前提。

会社都合の退職(離職)の場合は離職日以前の1年間に6ヶ月以上被保険者期間(雇用されていた期間)が条件になる。簡単に言うと会社都合の離職は(条件が)半分になる。

所定給付日数

基本手当がもらえる日数の上限。この日数は自己都合退職・定年退職の場合、算定基礎期間(被保険者期間)に応じて決まる。※1年未満は2年間に通算12ヶ月以上ある事が原則なので、受けられない。加入していた期間に応じて30日ずつ増えていく。最長は150日(自己都合退職・定年退職) 倒産・解雇の最長は330日。(就職困難者を除く)

基本手当のポイント

  • 所定給付日数:(失業保険がもらえる日数)は離職理由、年齢、雇用(被保険者)期間によって違う。被保険者期間が20年以上の人が定年退職または自己都合退職で離職した場合、最長は150日
  • 受給期間:原則、離職した日の翌日から1年間病気・ケガ・妊娠・出産・育児などにより引き続き30日以上職業に就くことが出来ない時はさらに3年間延長可能(最長4年間)
  • 待期期間:求職申し込み後7日間は待期期間となり、基本手当は支給されない。
  • 給付制限期間:自己都合退職の場合は5年間のうち2回までは7日の待期制限に加えて原則2ヶ月の給付制限期間があり、その間は失業保険(基本手当)は支給されない
  • 5年間に3回以上離職をした場合3回目から給付制限期間が3ヶ月間になります。

雇用継続給付

高齢者や介護休業中の方に対して行う給付。雇用の継続を促すことが目的。高年齢者の賃金低下を補う「高年齢雇用継続給付」は2つの給付金がある。

高年齢雇用継続給付雇用保険被保険者期間が5年以上ある60歳以上65歳未満の被保険者が、60歳以降の賃金の額が60歳到達時点の75%未満に低下すると賃金の一定の割合(最大15%相当額)が支給される。

支給対象期間→60歳到達月~65歳到達月まで

介護休業給付:一定の家族『配偶者・父母(配偶者の父母も含む)・子・祖父母・兄弟姉妹・孫など』を介護するために休業する場合、休業前賃金の67%相当額が支給される。(通算93日まで。3回を上限に分割取得可能)

教育訓練給付

雇用の安定と就職の促進を図る目的で行う給付のことです。

一般教育訓練給付:厚生労働大臣が指定した一般教育訓練を自ら費用を負担して受講し、終了した場合には費用の20%相当額(上限額10万円)が支給される

育児休業給付

原則、育児休業開始前2年間に(雇用保険加入)被保険者期間が、通算して12ヶ月以上ある被保険者が対象です。1歳、(最長2歳)になるまでの子を養育する為に育児休業を取得した場合の育児休業中、賃金が支払われない場合に、休業前賃金の67%相当額(180日経過後は50%)が支給される。

出生児育児休業(産後パパ育休):男性の育児休業取得を促進するために、子の出生後8週間以内に28日を限度として2回まで分割して休業を取得できる制度です。この期間には育児休業給付とは別に『出生児育児休業給付金』が支給される。給付割合は育児休業給付金と同じく休業前賃金の67%相当額です。