企業の年金制度

企業年金

企業が従業員の福利厚生のために導入する任意の年金制度

確定給付企業年金

基金型と規約型の2種類あり、従業員の受け取る給付額があらかじめ確定している企業年金です

確定拠出年金

拠出する額(掛金)があらかじめ確定していますが、年金額は運用の実績によって変わります。運用方法は加入者自身が選択し、その運用リスクは加入者が負います

確定拠出年金には、個人が任意で加入する個人型(iDeCo/イデコ)と、企業が企業年金として行う企業型の2つがあります。(併用は可能です)

確定拠出型年金の年金資産は、原則60歳までは引き出すことはできません。通算加入者等期間が10年以上ある人は60歳になれば任意の時期から老齢給付金を受給できます。ただし、75歳までに受給を開始しなければなりません。

個人型(iDeCo/イデコ)

加入対象者

  • 最長65歳未満
  • ①自営業者など→国民年金第1号被保険者、任意加入被保険者
  • ②厚生年金の被保険者→国民年金第2号被保険者
  • 国民年金第3号被保険者

掛金の拠出

  • 加入者
  • iDeCo+(イデコプラス)で事業主による上乗せ可

企業型

加入者対象者:最長70歳未満の厚生年金被保険者

掛金の拠出

原則事業主。規約に定めれば個人も上乗せ可→マッチング拠出

※マッチング拠出

事業主が拠出する掛金に加えて、個人(加入者本人)が掛金を上乗せして拠出することができる制度です。ただし、個人の拠出額は事業主の拠出額を超えることはできません

確定拠出型年金の税制

拠出時:個人の掛金は全額、小規模企業共済等掛金控除の対象

運用中:運用中の収益は非課税となる

受け取り時:老齢給付金を一時金として受け取った場合→退職所得となり、退職所得控除の対象となる。また年金として受け取った場合→雑所得(公的年金等)となり、公的年金等の控除の対象となります。

自営業者等が使える年金制度

自営業者は、会社員や公務員と違い、厚生年金部分の違いによって将来受給できる年金の額が少なくなります。それを将来のセカンドライフに備えるために、以下のような制度を利用することができます。

付加年金:第1号被保険者(自営業者など)・任意加入被保険者が国民年金基金とどちらか一方を選択して加入できる

  • 付加保険料=月額400円
  • 掛金は社会保険料控除の対象
  • 任意の脱退は出来ない
  • 掛金は年齢や性別、加入の型や口数によって異なる
  • 給付の型は1口目は終身年金(A型またはB型)、2口目からは終身年金または確定年金から選ぶ
  • 65歳または60歳から受給
  • 遺族給付はあるが障害給付はない

③個人型確定拠出年金(iDeCo)

  • 国民年金第1号被保険者・任意加入被保険者が個人型に加入する場合の年額上限は816,000円/月額68,000円(国民年金基金or付加保険料との合計額)
  • 掛金は月額1,000円~70,000円(500円単位)
  • 掛金は小規模企業共済等掛金控除の対象

中小企業の退職金制度(中退共)

中小企業の従業員のための退職金制度としての制度です。原則として従業員は全員加入します。役員は加入できません。

掛金は事業主が全額負担で、従業員1人につき原則5,000円~30,000円の範囲から決めます。従業員の個人負担は出来ません。以下の場合は国からの助成があります

  1. 新規加入するとき:加入後4か月目から1年間、掛金月額の2分の1を助成(従業員ごとに上限5,000円)
  2. 18,000円以下の掛金を増額するとき:増額月から1年間、掛金増額分の3分の1を助成
  3. ※筆者は給付を受けたことはありません。この制度は知らない方が多いと思いますのでご不安な方はお勤めの会社に確認された方がいいと思います。

年金と税金

公的年金や企業年金等の保険料や掛金を支払った場合にどのような控除の対象になるのか整理しておきましょう。

  • 社会保険料控除:国民年金・厚生年金・付加年金の保険料・国民年金基金の掛け金が控除の対象
  • 小規模企業共済等掛金控除:確定拠出型年金(個人負担分)・小規模企業共済制度の掛け金が対象
  • 生命保険料控除:確定給付企業年金(個人負担分)の掛金が対象

同じ制度でも老齢給付の受け取り方により所得の種類が変わるため税金のかかり方も変わります。 なお、公的年金の老齢給付は雑所得(公的年金等)障害給付・遺族給付は非課税です。

老齢給付を受け取った時の税の優遇

  1. 確定拠出型年金:一括受け取り→退職所得(退職所得控除の適用)/分割(年金)受け取り→雑所得(公的年金等)→公的年金等控除の適用
  2. 小規模企業共済制度:一括受け取り→退職所得(退職所得控除の適用)/分割(年金)受け取り→雑所得(公的年金等)→公的年金等控除の適用
  3. 中小企業退職金共済制度:一括受け取り→退職所得(退職所得控除の適用)/分割(年金)受け取り→雑所得(公的年金等)→公的年金等控除の適用
  4. 国民年金基金:一括受け取り:なし/分割(年金)受け取り→雑所得(公的年金等)→公的年金等控除の適用